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オリエンタル手織絨毯のもつ魅力の一つとして、まず挙げられるのがその色彩の美しさです。
古来、遊牧民族は、シルクロードの自然に生息する植物や昆虫などを使い、絨毯を比類なき味わいをもつ色に染め上げてきました。自然の恵みといえる数々の素材と、そこから抽出された天然染料によって表現された、空や水の青、樹木の緑、そして花の赤。草原と砂漠という荒涼たる自然の中に暮らす遊牧民族によって、これら絨毯というキャンバスの上に表現された華麗な色彩美は、まさに心のオアシスと呼べるものだったに違いありません。
現在では 、全ての糸を天然の素材で染めるケースは極めて稀ですが、高級なものになればなるほど、その割合が高くなることは言うまでもありません。 |
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青…「天国の色」とされ「真実」を意味する。 |
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赤…健康と喜び |
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ローズピンク…神の英知 |
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オレンジ…「信仰」と「愛国心」 |
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白…「悲しみ」と「平穏」 |

1856年、イギリスの化学者ウィリアム・ヘンリー・パーキン卿が抽出に成功した合成染料(アニリン染料)は、安価で染色も比較的簡単であったため、ペルシアの染色職人たちの間にも急速に普及しました。しかし、繊細な色が表現できない上、色も褪せやすいものであったため、1890年代には、ペルシア絨毯の質の低下を恐れた当時の君主ナシール・アッディン・シャーによって使用を全面的に禁止されました。もちろん現在用いられているクローム系の染料は品質も向上し、アニリン染料に比べ高価なものの、比較的色褪せもしにくくなっています。 |
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